2017-01-01から1年間の記事一覧

雪の十勝――雪の研究の生活―― 中谷宇吉郎

十勝の山小屋で著者がやっていた雪の研究生活が描かれるようで、山小屋のオーナーO老人のすごさを語る話だった。O老人が何ヶ月も雪山を歩き回っている間に、ひとりで山小屋を守っているお婆さんもすごいと思う。二人が出会った経緯も気にならないでもないが…

囚人と対決

3回勝負で仲間9人の中から選手が選ばれる。知能ゲームの後にその結果が影響するフィジカルのゲームで2勝したチーム方が勝ち。心の準備をしていたのに、選ばれなかった……選ばれた奴から同僚のチームだったっぽい。 帰り際に仲間がクラシックカーのレストアを…

寝過ごす夢

今日は二度寝した。1時間ほどで起きるつもりが起きてみると3時間ほど経っており、血の気が引く。もう体調悪いから休むことにしちゃおうかと悶々としていると、なぜか他部署の部長と遭遇していた。 それらは夢で目覚まし時計のアラームでちゃんと起きること…

湯布院行 中谷宇吉郎

冬に雪が降る由布院で、雪の研究家である中谷宇吉郎氏の伯父が、ロハスな生活を送っていた。雪歌ユフの聖地にせざるをえない! 交通の便は恐ろしく悪いのに、悠々自適で素敵な生活に見えてしまう。著者の従兄弟もこの地の環境に見事に適応している。いつから…

城を守れ

強敵の侵攻から城を守るために、以前の強力な支配者に協力を求めて、防御にテコ入れをしてもらおうとしていた。最初の条件では折り合いがつかず、次善の条件に切り替えて話をすすめる。が、残念ながら詳しい内容は不明。 以前の支配者は上杉謙信みたいなイメ…

立春の卵 中谷宇吉郎

疑似科学との戦い方。立春に卵が立つという報道が出回ったことに対して、著者が冷静に、しかし手間をかけて対応した話。自分で試さずに適当なことを言ってしまう科学者も疑似科学を支援しているようなものだな。 卵が立つことが知られていなかったのは、ある…

食通と川岸たたき

食通になってお蕎麦屋さんをめぐる(テレビ連れ?)のと、伸縮棒で川岸を叩いて歩くのの謎の同時進行二本立て。後者はコンクリートを破壊して歩いていたかもしれない。公共物の破壊? 前者はマニアにコバンザメされて苦労していた。相席を求められたら断れな…

雪を消す話 中谷宇吉郎

戦争直後で食料自給率の低さが深刻な農業のために雪を消す方法が研究されているとの話。雪を人工的に消して早めに作付けを行えば収穫を劇的に増やせるらしい。 雪に畝を作って土を撒く方法が効果的だが、最後に理論的には日射の角度の問題ではなかったと追記…

アラスカ通信 中谷宇吉郎

アメリカ本土に行く際、飛行機がアラスカに寄ったので、盛大な寄り道をしたお話。ずいぶんと融通が効くみたいで、現代のシャーペン一つを買うためにも領収書がいる研究者には読ませられない……。著者が訪れた当時はフェアバンクスがアラスカの州都で、アンカ…

一人の無名作家 中谷宇吉郎

芥川龍之介が全集の八巻で取り上げていた無名作家とは、著者の弟のことだった。驚くような偶然から、弟の思い出が語られる。中学生にして芥川龍之介に褒められる文章を書いていたとは大したもので、それで終わらず長じては良い論文もたくさん書いたみたい(…

「霜柱の研究」について 中谷宇吉郎

「霜柱の研究」について 中谷宇吉郎 女学生たちのアマチュア的な研究が、プロの研究者を感心させた話。快刀乱麻の言葉がふさわしいほどサクサク研究が進展していった様子は間接的に読んでも快感である。だが、零下10℃の高原で1時間毎に記録などの苦労も予想…

野球をやっていたはずが鬼当て

外野手の一人が三人を指揮する特殊なシフトとかで野球をやっていて、二塁ランナーをタッチアウトにするために密かに後ろから近づくもキャッチャーが暴投。ボールを追いかけているうちに何故か鬼当てになっていた。 しかも街の中で戦っていて、ワンバウンドで…

島津斉彬公 中谷宇吉郎

著者の知り合いである牧野伯が東條首相に読ませようとしていた島津斉彬公の本を読んだ感想。タイトルを「島津斉彬公を読んで」にしてほしかったところだ。今更すぎるが。 東條首相に読ませて技術の大切さを学ばせようとしても、当時は逆方向から首相への影響…

実験室の記憶 中谷宇吉郎

著者にとっての実験室の思い出を語る文章を想像していたら、実験室に宿る記憶というオカルティックな話題になってビックリした。蟻の集団がひとつの意思をもって動くかのように、実験室がひとつの目的に向かって最適化されると解釈すればオカルトではないの…

粉雪 中谷宇吉郎

雪の降らない国の住民には馴染みのない牡丹雪と粉雪の話。もっとも、この文章が書かれた当時には土佐でも10cmになる牡丹雪が降ることがあったというから、驚きである。牡丹雪は気温の高いときに、粉雪は低いときに降ると覚えておけば、ひとつの知識にな…

原子爆弾雑話 中谷宇吉郎

終戦直後に科学者だった著者が原子爆弾に関する日本と米英の動向を回想した文章。慧眼だった海軍のある将官の名前が知りたかった。著者の言うとおり間に合わなかったことは分かるけれど、こういう動きがあったことはちゃんと評価されるべき。それでこそ未来…

科学と文化 中谷宇吉郎

世に氾濫する科学的な意見について、寺田寅彦にうるさい著者が一席ぶっている。とりあえず難しい言葉を使っておけばいいみたいな意見は論外として、寺田寅彦力の低い科学者はどうすればいいのか、著者が考えた結果は事実の紹介に徹することである。無知の地…

雪を作る話 中谷宇吉郎

実験室で雪を作るための試行錯誤が紹介されている。自然とは水蒸気の発生源を上下を逆にした逆転の発想でブレイクスルーしつつ、最終的にはできるだけ自然を再現する方法に戻ってくるところが実に実験科学らしい。 雪の結晶を成長させるベースにウサギの毛が…

天災は忘れた頃来る 中谷宇吉郎

転載は忘れた頃にやってしまう。おぼろげな記憶でやるので、確かな出典があると思い込んでいるが、寺田寅彦氏は明確にエッセイで同じ言葉を使ったことはないとの指摘がされている。「天災と国防」には類似の表現があるらしい(自分も読み覚えがある)し、同…

雪の化石2 中谷宇吉郎

化石というよりも立体魚拓の作り方が近いかもしれない。本物の化石についても言及はされている。すぐに溶けてしまい研究の難しいものを安定させて研究するための試行錯誤が見えてくる。便利であると同時に、実物そのものを見たい欲求も強まるんじゃないかな…

白い月の世界 中谷宇吉郎

ハワイ島のマウナ・ロア山頂について書かれた「黒い月の世界」の対になる作品。黒い月の世界で予告していたグリーンランドでの観測記である。 過酷な環境のためにデンマーク人が2人死んでいて、ひとりは遺体も見つかっていない。著者も運が悪ければ死んでい…

力士になっていた

意味はまったく不明だが、力士になっていた。しかも、けっこう高位っぽかった。同期の他の力士と一緒に取材を受けているらしかった。 小さな頃、特訓した木の上か築山の上にある秘密基地の話なるものが出てきた。ロープが巡らされて神社の御札が張ってあった…

九谷焼 中谷宇吉郎

加賀の名産品である九谷焼について、著者が思い出を語る。古九谷と工業生産品の間にある見落とされていた九谷にについて知ることができる。明治維新による悪影響は九谷焼にも及んでいたのか。(末端は?)ともかく古いものをぶっ壊せばいいと思っていたみた…

トイレが埋まっている

職場の外にあるいつも使っている屋外のトイレに使用禁止の看板が立っていた(使用禁止になる前に使うところも夢に観た気がする)。しょうがないので隣の敷地のレストランに入っていくも、そちらの2箇所あるトイレも外まで並んでいる人がいた。 最後の手段と…

雪女 小泉八雲

正体がバレたらお別れしなければいけない。そこは鶴の恩返しと同じになっている。 子供が10人もいるのに、木こりの男手ひとつで育てなければいけなくなったなんて大変すぎる結末だった。10人もいるなら上の子は手伝える歳になっているかなぁ。それにして…

赤ずきんちゃん グリム兄弟

狼の手口を犯罪者が真似たら危険だから赤ずきんちゃんを発禁にした方がいいんじゃない?そんなことをしたら赤ずきんちゃんが一命をとりとめて道草を反省したように、読者の子供が狼が暗示する悪意に注意する機会を奪うだけだなぁ……つい赤ずきんちゃんが目を…

アラスカの氷河 中谷宇吉郎

この文章が書かれた当時にアメリカへ向かう航空路からアラスカの氷河が見て楽しめるようになったらしい。ただし、天候に恵まれた場合に限るとのこと。自然の壮観な光景が探検家だけの楽しみではなくて、一般人の目にも触れるようになってきたことは人々の意…

ブレーメンの町楽隊 グリム兄弟

老兵は食われず、ただ去るのみ。食いのがした人間たちのお腹が鳴りそうだ。おんどりを一行に加えたときに猫は(お弁当ゲット)と思ったんじゃないかなぁ。別種族の連合が利害を対立させずに最期までやっていけるのか、興味深い。奪った家を巡って泥沼の争い…

黒い月の世界 中谷宇吉郎

ハワイ島のマウナ・ロア山頂で雪の研究をおこなった著者によるエッセイ。そこそこの冒険要素もあり、マウナ・ロアの素晴らしい景色の描写にはセンス・オブ・ワンダーを感じた。 肝心の雪はなかなか降らないのだが、別の研究をやっていたり、高山ゆえの苦労の…

星の銀貨 グリム兄弟

心優しい優しすぎる無垢な女の子が報われる話。そのまま凍死もありえる世界なので運が良かった。むしろ大量の銀貨を得ながら衣類が手に入らずに凍死する結末がグリム童話にふさわしい気がしてしまった。 手に入った大量の銀貨は貧しい人々に分け与えなかった…