立春の卵 中谷宇吉郎

 疑似科学との戦い方。立春に卵が立つという報道が出回ったことに対して、著者が冷静に、しかし手間をかけて対応した話。自分で試さずに適当なことを言ってしまう科学者も疑似科学を支援しているようなものだな。
 卵が立つことが知られていなかったのは、ある程度の精度で平面の出た机が作られるようになった歴史の浅さも影響していそうだ。少なくとも卵との付き合いほど綺麗に平らな机との付き合いは長くないはず。でも、卵が立つことを立春限定との勘違い込みで発見した古代中国の人物はいい机を持っていたんだろうな。


青空文庫
中谷宇吉郎 立春の卵