赤ずきんちゃん グリム兄弟

 狼の手口を犯罪者が真似たら危険だから赤ずきんちゃんを発禁にした方がいいんじゃない?そんなことをしたら赤ずきんちゃんが一命をとりとめて道草を反省したように、読者の子供が狼が暗示する悪意に注意する機会を奪うだけだなぁ……つい赤ずきんちゃんが目を奪われた森の描写が素晴らしかった。
「そういわれて、赤ずきんちゃんは、あおむいてみました。すると、お日さまの光が、木と木の茂った中からもれて、これが、そこでもここでも、たのしそうにダンスしていて、どの木にもどの木にも、きれいな花がいっぱい咲いているのが、目にはいりました。」
 猟師はおばあさんを助けるつもりだったのに、赤ずきんちゃんま で出てきて驚いたことだろう。真っ暗な狼の胃袋に入って、死にかけたお婆さんがワインとお菓子で復活するのは、キリスト教的な死からの再生要素があったりしそう。


青空文庫
グリム兄弟 Bruder Grimm 楠山正雄訳 赤ずきんちゃん ROTKAPPCHEN