一人の無名作家 中谷宇吉郎

 芥川龍之介が全集の八巻で取り上げていた無名作家とは、著者の弟のことだった。驚くような偶然から、弟の思い出が語られる。中学生にして芥川龍之介に褒められる文章を書いていたとは大したもので、それで終わらず長じては良い論文もたくさん書いたみたい(ただし、早くして病死)。兄は東大に進学しているし、理系でも文系でも才能に恵まれた子供を輩出した家庭だったのだな。


青空文庫
中谷宇吉郎 一人の無名作家