2017-08-01から1ヶ月間の記事一覧

語呂の論理 中谷宇吉郎

著者が入手した江戸時代の本をきっかけに、日本人に残っている非西洋科学的な姿勢「語呂の論理」について、論じた一片。陽イオン・陰イオンの議論について現代でも疑似科学界隈では元気な論理展開に思えて笑ってしまった(が笑えない)。 区別をするための記…

ツーン湖のほとり 中谷宇吉郎

イギリス留学時に著者が経験したイギリス上流社会の様子。スイスのツーン湖ほとりにあるホテルで優雅な日々を過ごしている。うらやましい経験だが、イギリス人は付き合いにくい感じも……著者にはいろいろ良くしてくれているので複雑な心境を抱いてしまう。ア…

I駅の夜 中谷宇吉郎

名声は身を助ける。だが、通じる相手と通じない相手で対応が激しく異なっているところが名声のあつかいの難しさである。もっとも著者には名声を利用するつもりはなくて――肩書は多少利用したが――偶然、泊めてくれた相手が著者を知っていただけである。 地方の…

真夏の日本海 中谷宇吉郎

日本海にも真夏はあるんだよな。どうしても冬のイメージが強い日本海の夏の魅力を、著者の少年時代の経験を元に描いた文章。サザエ(栄螺)やタコ(章魚)の漢字表記が読み慣れず、生態などの描写から読みが分かった。 子供心にみた海の美しさと恐ろしさが巧…

冬ごもり 中谷宇吉郎

研究者によるギネス的な冬ごもりの話。半分以上、冒険家になってしまっている感じの研究者だが……アメリカの人は軍人でもあった。昭和12年のソ連の実験がアメリカの実験よりも詳細を公表している点が興味深い。公表して障りのない科学的なデータに関しては…

読書子に寄す ――岩波文庫発刊に際して―― 岩波茂雄

岩波文庫にくっついている創刊者の理念を謳った文章が単体となって、青空文庫に収録されていた。底本が、中島敦の山月記であることが最高にロックである。岩波文庫が生まれた当時の出版業界が抱えていた問題が伝わってくる。 今でもディアゴスティーニの耳に…

線香の火 中谷宇吉郎

寺田寅彦氏が「線香の火を消してはいけない」と卒業する学生に語り聞かせていたことの述懐。研究に関係のない仕事についても、いちど研究に足を踏み入れたのならば、少しでも研究を続けるべきとのこと。働きすぎ時代にはつらい言葉であるが、当時も大変だっ…

雪雑記 中谷宇吉郎

ただひたすら雪の結晶を切り続けていれば、そのうち切れる。わけがわからない……この現象に起こったことを深く追求してほしかった。そうじゃないと学生が変わったときに引き継ぎができない。科学にとって再現性は大事。 雪の研究に関するさまざまな話を「聞く…

簪を挿した蛇 中谷宇吉郎

科学者中谷宇吉郎の意外な少年時代が語られている。仏教のお祈りを聞きながら宇宙創生をイメージしていたとは、ある意味で出来すぎである。そういえばSF作家の谷甲州氏も石川県在住だった。 中谷宇吉郎氏が暮らしていた町は大聖寺藩のお膝元であったらしく、…

「茶碗の湯」のことなど 中谷宇吉郎

寺田寅彦氏が別名で書いた短文「茶碗の湯」について、解説を行っている短文。 日常的な「茶碗の湯」は対流現象など地球規模の現象を説明する例として使うことができる。科学者の鋭い観察眼を感じさせるのは、複数の現象を取り上げているからだ。風に吹かれた…

雪の十勝――雪の研究の生活―― 中谷宇吉郎

十勝の山小屋で著者がやっていた雪の研究生活が描かれるようで、山小屋のオーナーO老人のすごさを語る話だった。O老人が何ヶ月も雪山を歩き回っている間に、ひとりで山小屋を守っているお婆さんもすごいと思う。二人が出会った経緯も気にならないでもないが…

囚人と対決

3回勝負で仲間9人の中から選手が選ばれる。知能ゲームの後にその結果が影響するフィジカルのゲームで2勝したチーム方が勝ち。心の準備をしていたのに、選ばれなかった……選ばれた奴から同僚のチームだったっぽい。 帰り際に仲間がクラシックカーのレストアを…