島津斉彬公 中谷宇吉郎

 著者の知り合いである牧野伯が東條首相に読ませようとしていた島津斉彬公の本を読んだ感想。タイトルを「島津斉彬公を読んで」にしてほしかったところだ。今更すぎるが。
 東條首相に読ませて技術の大切さを学ばせようとしても、当時は逆方向から首相への影響力を行使しようとしていた魑魅魍魎がたくさんいたに違いない。いまでも首相はそういう働きかけの多い立場であろう。だからといって綱引きに参加しないと不戦敗してしまうだけか・・・・・・。
 島津斉彬の業績については、どうしても琉球の民を虐げた上での成果であることを意識せざるをえない。明治時代は酷使される対象が国民全体に拡大されて独立を守ったとい う否定はできないが、全肯定もとてもではないができない悲しい歴史である。


青空文庫
中谷宇吉郎 島津斉彬公