アラスカ通信 中谷宇吉郎

 アメリカ本土に行く際、飛行機がアラスカに寄ったので、盛大な寄り道をしたお話。ずいぶんと融通が効くみたいで、現代のシャーペン一つを買うためにも領収書がいる研究者には読ませられない……。著者が訪れた当時はフェアバンクスがアラスカの州都で、アンカレッジは発達中だったなどの地理情報が興味深い(現在の州都はジュノー)。
 非常に厳しい気候に対して、徹底的な科学力で対抗して暮らしている様子は実にアメリカ的だ。水上飛行機をチャーターして釣りをして回る人もいるくらいなので、底力はあるに違いないが。
 フェアバンクスの大学ではオーロラ研究が盛んに行われようとしていて、現在のオーロラ観光に繋がるものが感じられた。白眼視されても、ひたすらオーロラの研究をしていたというフーラー教授の成果を称えたい。


青空文庫
中谷宇吉郎 アラスカ通信