原子爆弾雑話 中谷宇吉郎

 終戦直後に科学者だった著者が原子爆弾に関する日本と米英の動向を回想した文章。慧眼だった海軍のある将官の名前が知りたかった。著者の言うとおり間に合わなかったことは分かるけれど、こういう動きがあったことはちゃんと評価されるべき。それでこそ未来に繋がる。まぁ、著者と同じく日本に核爆弾を開発してほしかったとはまったく思えないのだが。
 ドイツからユダヤ人科学者が逃げたことで、ドイツの科学技術レベルが低下したことを論文からなんとなく感じていたというのも興味深い。少なくともレベルが上昇することは考えにくいよなぁ。仮にナチス・ドイツが生き残ってしまっても、国力的にも将来は暗かったと 確信した。


青空文庫
中谷宇吉郎 原子爆弾雑話