『日本石器時代提要』のこと 中谷宇吉郎

 考古学者であった弟の業績を著者が回想する。語学にも驚くべき才能をもっていたらしく、兄弟揃って優秀である。そんな兄弟が嵐の夜には祖母に抱きついて、おとぎ話を聞いていたと他のエッセイに書かれて知っていることが可笑しい。
 功績が認められた弟は短命でも幸せな男だったと述懐している。不幸だったのは彼を早くに失って、もっと多くの功績をあげてもらえなかった世界の方だったのか。


青空文庫
中谷宇吉郎 『日本石器時代提要』のこと