茶碗の曲線 中谷宇吉郎

 著者の弟が土器に対して行っていた曲線を使った大胆な分類方法の研究について。あまりにもハードルが高すぎて形にならなかった研究の話は、なかなか耳に入ってきにくいものなので興味深い。
 現代であればコンピューターによる情報処理で、もうちょっと何とかなりそうに思われる。発想がよくても時代の先を行き過ぎると形にできない例だったのかもしれない。しかし、対象は人間が手で作ったもので土器であればロクロも使っていないわけで、どうしても例外が出てくる。無意識的なデザインの統制がどこまで法則化できるものなのか、そのあたりの考察があったら、もっと良かった。


青空文庫
中谷宇吉郎 茶碗の曲線 ――茶道精進の或る友人に――