比較科学論 中谷宇吉郎

 科学研究には二通りがあり、それは警視庁型の研究とアマゾン型の研究だという。何が出てくるか分からないアマゾン型の研究は面白そうだが、きっと人を選ぶ。警視庁型の研究はひらめきに自信のない人でも最新機械と適当なテーマがあれば出来てしまったりする――という別の本での話だが、謙遜が含まれているかもしれない。
 どちらもおろそかにされずにバランスよく科学が発展していくことを願わずにはいられない。
 警視庁型の研究で、依頼されたものでは要求にない余計なことはしないと書かれていたけれど、報告しないだけで余裕があればこっそりやっているんじゃないかな。研究者の好奇心は抑えがたいし、ある程度自由であるべきだ。


青空文庫
中谷宇吉郎 比較科学論