「もく星」号の謎 中谷宇吉郎

 戦後に起こった旅客機の墜落事件について、飛行船の事故調査に加わったことのある著者が提言を述べている。
 過去の事故について「面白い」と言える不謹慎言葉ハンターの活性の低さが羨ましい。もちろん、現象と事故を切り離したコメントなのだが、国語力の低下した連中には伝わらないからなぁ。異常振動による航空機の墜落調査の話は、たしかに現象として興味深かった。対策は銅線強化だけで大丈夫か?現代的に考えると抑えが二系統ほしいなぁ。
 寺田寅彦氏が調査を主導した飛行船の墜落事故の件では、当時すでに旧軍組織が腐っていたことが伺えた。責任問題になるから事実を認めたくないなんて姿勢で良く「天皇の赤子」を預か っているとか言えたなぁ……。寺田先生たちは良く正義を貫いた。


青空文庫
中谷宇吉郎 「もく星」号の謎 ――白鳩号遭難事件を回顧して――