線香花火 中谷宇吉郎

 寺田寅彦先生にみんなが勧められていた線香花火の研究を、夏の風物詩的に試みた著者の実験ノート。最終的に夏休みの宿題にするには難しいことをしてしまっている。火花の出現が火球の温度と密接に関係していて、放射温度計の測定によれば最初の860℃では火花が出ないが、940℃にまで上がってくると火花が出てくる。そして、850℃まで下がるとまた火花が出なくなるとのこと。
 これを逆に使って温度計のない時に火球の色を基準にすることで、だいたいの温度を「色見」できると思った。少なくとも色合いを覚えておけば、別の現象での温度が推定できるようになるかもしれない。
 こよりに和紙を使っていることも線香花火には不可 欠な要素という点も興味深かった。


青空文庫
中谷宇吉郎 線香花火