ルンペルシュチルツヒェン グリム兄弟

 王様の限りのない欲望がおそろしくも人間味たっぷりで、それがまたおそろしい。小人よりもよほど酷い人物だったのに報いを受けることがない結末が不満だった。
 粉屋の娘は人生の選択肢が限定されつづけていて、とても可哀想だ。いちおう玉の輿にはなっているし、綺麗な子供に恵まれてはいるけれど、安定した地位とは思えない。
 粉屋は貧しい設定でも、農奴から水車小屋の使用料を巻き上げる側の立場だったから、民衆が自己投影する対象としては屈折したものがあるのかもしれない。無駄に知識が増えたので文化的な背景を考える。


青空文庫
グリム兄弟 Bruder Grimm 楠山正雄訳 ルンペルシュチルツヒェン RUMPELSTILZCHEN