ヘンゼルとグレーテル グリム兄弟

 兄にも妹にも見せ場のある物語。木こりの父親の押しの弱さが生々しいと感じるようになってしまった。そんな父親が木こり仕事を続けていると見せかけるトリックを使ってくるあたりもキツイ。
 魔女はそういう危険な野生動物の一種に思えてくるので、両親とは怖さの質が違う。グレーテルの機知と勇気には感心すると共に、ちょっと引く。兄を助けようと必死だったし、それまでの生活で追い詰められていたせいでもあるが。
 ヘンゼルは丸々と太らされていたはずだが、木こりの家にたどり着いたときに「誰だお前は!」と言われなかったのかな。


青空文庫
グリム兄弟 Bruder Grimm 楠山正雄訳 ヘンゼルとグレーテル HANSEL UND GRETEL