ある宇宙塵の秘密 海野十三

 青空文庫でSFが読める!作品の出来はともかく、SFが読めるのは嬉しい。万有引力が吊りあって0になる点にロケットがはまり込んだとか、なんとも子供だましだったが、昔の子供向けSFの雰囲気を満喫することはできた。あの設定のおかげで渋谷博士が火星人に捕獲されず、尋問で地球の情報を与えることがなかったのは不幸中の幸いかな。
 地球から火星までの飛行期間の7、8ヶ月は悪い線ではないところが面白い。
 それにしても渋谷博士はテレビジョンの搭載をシュミット博士に依頼するべきであって、どう考えても窃盗行為に走るべきではなかった。それを気持ちは分かるとしてしまうのは……昔の人間は野心家ばっかりだな。


青空文庫
海野十三 ある宇宙塵の秘密