名文集

「何だか問題の多い家族みたいね。」 「だがカミさんは美人なんだ。」――ワイルダネス6巻173P その美点には他の全てが吹き飛ぶね。そういうことにしておこう。カミさんが最大の問題点だったりしたら目も当てられないけど。

「連中を相手に戦ったとあれば娘も俺の名を誇りと共に語ってくれるだろう。あの場所にまつわる死者の名簿の、末席を穢すだけに終わったとしてもな。」 「聞いたか。俺のボスだ。」――ワイルダネス6巻125P ここは本当にハードボイルド。名誉を重んずる態…

「この世界に知らぬ者とてない伝説の殺し屋!ひとたび銃を抜けば悪魔と謳われた早業の前に大地は血に染まり、その名を聞けば天は震え海は裂け洗濯物は乾き――――――」――ワイルダネス6巻114−115P アルバレスたんの変な演説その2。脅しを掛けつつも超ロ…

「ブロウトンにとって犯罪はビジネスだが、彼にとっては道楽だ。だからこそ何より優先されねばならない、というのが彼の考えだ。」――ワイルダネス6巻105P その通り道楽に手は抜けません。改変して「某漫画家にとって漫画はビジネスだが、伊藤先生にとっ…

「カネの話は愛すべきマクニーリー氏に任せるとして、迷子の観光客からサカリのついたカップルに至るまで、およそ考え得る限りの外的に対処できますよ。」――ワイルダネス6巻103P 想定の範囲が歪んでいる上に狭いのは彼一流のギャグなのであろう。もちろ…

「ひとくち食べるつもりで開けたスナックを、何となく全部食べちゃうってこと、あるでしょう?」 「知らないわよ!」――ワイルダネス6巻68P 皆殺しにした感想がこれなのだからまったく怖気をふるう。中途半端に残しちゃうってこともあるね。

まったくシェイクスピアの昔から人間ってのは無駄の集積で織り成されている――ワールドエンドフェアリーテール4巻26P つまらないもので男の子は出来ているというマザーグースを思い出した。人間そう簡単に進歩はしないが、シェイクスピア以前と以後ではや…

もしもしあんたが用のあった男は今から私が始末するところよ。残念だったわね。次世代ケータイの通話エリアがあの世までのびることを祈りなさい――ワールドエンドフェアリーテール4巻18P 加絵のセリフの楽しさは並ではない。特にこのセリフはちょっと捻り…

後悔ってのはいつも抑え切れない好奇心と背中合わせなのだとその時知った…――ワールドエンドフェアリーテール3巻109P 弥勒の回想より。非常に同意できるものを多分に含んだ言葉。子供時代の経験にはそうやって生まれた後悔がたくさんたくさんある…。

真実はいつもそこにありけして揺るがない。それが見えないのは見る勇気を持たないからですよ――ワールドエンドフェアリーテール2巻11P 見ようと思えば見える、見ようと欲しているはずなのに見ない。しかし、見たい見たいと口では言う。さて…?

アーヴ、その性、傲慢にして無謀。――星界の紋章1巻140P これは定番か。まったく手のつけられない連中だ、やれやれという雰囲気がよく出ている。

まったく、このお嬢さんの機嫌を損ねる以上に簡単なことが、はたしてこの宇宙に存在するのだろうか。――星界の紋章1巻77P ここで宇宙を持ち出す事がスペースオペラの世界観に合致していて良い雰囲気。ラフィールの扱いの難しさをよく表現してもいる。

これで心が浮き立つのを感じない男がいたら、精神が病に冒されている可能性を検討したほうがいい。――星界の紋章1巻64P 人類統合体の男の中には思想という病に冒されて美しいアーヴとの交流を素直に喜べないやつもいろうだろうが……遺伝子レベルの整形と考…

一瞬のためらいが無慈悲に嘘をあばく。 「そう……」人とは馴染み深い世界、愛していた世界がガラガラと崩壊する音をたしかに耳にした。――星界の紋章1巻32P 一行目の文章の切れ味の鋭いこと!ジントの心をぞくりと切り裂くのをそれが表現しているかのよう…

上級者が最後に学ぶ技術より初心者が最初に学ぶ技術の方が大事――魔道72−7 はじめに得た方向性が後々のことをかなり決定してしまう。それは間違いない。しかし、それを強烈に意識してやるのは難しい。優れた師が宝となるのはそんなところに理由があるのか…

自分のしたことを信じれば信じるほど、それを否定する人たちが信じられなくなる。――魔道68−20P Web漫画の魔道から印象に残ったリントのセリフを。この状態は非常に辛いのだが、単純に真実を伝えるのも難しい。人間とは自分の信じたい事を信じる生き…

「ギャグは技術です。だからこそパターンに慣れるだけでも笑えますし、古くもなります。しかしユーモアは精神的な姿勢です。本質を掴んでいる限り、決して古びません。それになにより、ギャグのように無理をして笑う必要もありません。つまりギャグは逃避で…

マジメではないことが不真面目とイコールだと考えていたのか?どんなことにも楽しみを見つけようとしている態度をふざけていると受け取っていたのか?――A君(17)の戦争4巻247P あまり好きではない4巻だが、それだけに強烈なメッセージ性をもっている。…

彼女たちは残酷なのではない。 戦争がそれを求めているのである。――A君(17)の戦争3巻104P 求めに応じるのは結局残酷なのでは?それを求めてくる戦争こそ残酷だと言ってしまえばそれまでか。

「親のいる人、奥さんのいる人、お子さんのいる人、こないでこないでぇ!ボクの前に来るとみんな泣いちゃうよぉ!」――A君(17)の戦争1巻313P 幼女の外見で舌足らずにいう感じがでていて余計にコワい。でも笑ってしまう、戦場風景らしいギャグだ。

「一人の人間が自分以外の人のために、人生の幸せの何分の一かでも犠牲にすることは、大変なことなんだ。」――マスターキートン3巻70P エゴイストである自分にはまったく良く分かる言葉だ。人のためにすることが自分の幸せになるように立ち回れればいいん…

「ファイアマン!!ワインを慎め。それから……新鮮なグレープフルーツジュースを飲むんだ!!」――マスターキートン2巻126P なんとなく気に入っている。相手の健康をきづかっているのだが、妙に不器用でそこがカッコいい。

「ひとつだけ言っとく!自分を虫ケラだと思って、そこから這い上がろうとする奴は、虫ケラとは言わない!それは人間だ。」――マスターキートン2巻44−45P 這い上がろうとしない奴はやっぱり虫ケラなんだろうか。それくらいなら自分を虫ケラと思わない奴…

「まさか!お袋が俺たちのことを忘れたりするものか。因果律を無視してでも、記憶にとどめているよ」――終わりなき索敵上巻254P 母は強し。徹底的なハードSFのようでいて、こういう原始的な精神の力を重んじるバランス感覚は凄い。

一度暖炉で火傷をした犬は決して暖炉に近づかない。 暖炉に近づくのは、暖炉の中に焼栗があるのではと思う者たちだけで、その甘さを忘れられないからに他ならない。 どんなに辛いことが待っているだろうと予想ができても、あるいはそこにはなにもないかもし…

初心を忘れるなと言っても、それは実際には無理な話だ。 その言葉がとても重い含蓄を持つのは、時間は決して巻き戻らず、またまったく変わらない人間というのもいないことをみな分かっているからのはず。――狼と香辛料5巻231P できないことを訴えるから…

ホロがロレンスの取り乱す様を楽しむのであれば、ホロはロレンスになにかしら仕掛けなければならないが、ロレンスが一番取り乱すのはホロがなにも仕掛けてこなくなった時だ、なればホロはおとなしくしているほかない。――狼と香辛料5巻53P 深い心理戦のよ…

頼み事をする時に、卑屈にならず、高貴さを保ったまま、なおかつ威圧的にならないでいられることはとても難しい。 エルサの頼み方はまさしくそれ。 聖職者のそれだった。――狼と香辛料4巻153P 難しいというか不可能じゃないかと思われることさえある。聖…

商人は教会の聖職者ではない。なにかをする時は、必ず別の目論見がある。――狼と香辛料3巻279P 教会の聖職者は聖職者で目論見がある時は、恐ろしい目論見があることをこの作品は描いていたりする。まぁ、部分部分では無私の善人も多いんだろうけど、そう…

「愛は金で買えないと詩人は言い、金より大切なものがこの世には存在すると説教師が言う。ならば、金を稼ぐことすらこんなにも苦労するというのに、どうしてそれよりも大切なものが我々の手の中に入るのだろうか」――狼と香辛料3巻270P 商人たちの悩みは…