・決着
 マリアナ諸島は大部分がイギリス領。仏印は日本がフランスへの戦後返還を約束し、アメリカの無闇な独立派援助工作がフランスの態度を硬化させたことから侵攻できず、アメリカは残された選択肢の中から台湾侵攻作戦を決定する。弱体の日本陸軍相手ならば広い土地を戦場にしたほうが有利との判断もあった。ともかく周辺の制空権をおとしいれ、南シナ海の口を閉じてしまうことだ。
 こうして発動した乾坤一擲の侵攻作戦「ヘイスティングス」は圧倒的優勢の機動部隊に支えられ、台湾の航空隊と激しく殴りあいながらパラオを占領した精鋭たちを先頭に上陸部隊を送り込む。日本陸軍は内陸に撤退しながら飛行場を堅守する構えをみせ、頑強な抵抗をおこなった。
 いっぽう日本海軍は複数の機動部隊を台湾北方で活動させ、もっぱら射程圏ギリギリで上陸船団を叩きまくった(小沢のアウトレンジ戦法)。彼らと台湾の航空隊が協力すれば、圧倒的な米機動部隊にたいして一次的な航空優勢を確保することが可能となり、その制空圏下でアメリカの上陸船団は次々と沈んでいった。(米機動部隊は損傷を嫌って台湾に接近しすぎることを禁じられていた――フォークランド紛争がヒント)


 そのころ航路の安全が確保できなくなったシンガポール発の輸送船団は空母二隻に護衛されながらジャワ海を東進、アメリカの哨戒線からロストするとパラオ沖に現れ、かねてからの作戦通り占領されていたその島に逆上陸をしかけた。動かせる戦力が不足している状態で裏をかかれたアメリカはあっさりとパラオを失陥。そこを拠点とする二隻の空母によってフィリピンから台湾への補給路を妨害された。
 何よりも致命的だったのはパラオに上陸した機材の中にイギリス義勇航空隊のグロスターミーティアジェット戦闘機が含まれていた事で、フィリピンからの攻撃隊はバタバタと撃墜され、パラオへの追加補給まで許してしまう。


 台湾での泥沼の消耗戦から退くも進むもままならなくなったアメリカはフィリピン周辺で機動部隊を運動させるも、日本の基地航空隊と機動部隊の絶妙の連携に翻弄させて効果的な戦果をあげることができず、いたずらに損傷を増やしていった。
 そして輸送空母や沖縄経由で続々と送り込まれる日本軍機が台湾の航空優勢を回復した時点で勝敗は決した。逃げる船さえ沈められたアメリカ上陸軍は海岸に追いつめられ、降服。そのあまりの被害の多さと渡洋侵攻能力を一時的に喪失したことにより、短期決戦を求めていたアメリカは継戦意欲を失い、ドイツ帝国の仲介で日本と停戦、フィリピンの独立を認めるなどアジアから本格的に手を引くこととなった。
 こうして日本はアジアの地域覇権国家として輝きはじめた。