最後の胡弓弾き 新美南吉

 滅びゆく芸人の美学。味噌屋の旦那は希望だが、ラストがあまりに悲しく救いがなかった。自分を認めてくれる人を、一人でも見つけるのは大変なことなのだ。最後まで胡弓弾きのことを気にしていた旦那の様子が涙を誘った。
 ラジオの普及した時代に胡弓弾きは対応できないが、ネットで配信できる今なら視聴者を集められた可能性もあるのかなぁ。せめて覚えていた曲が民俗的な遺産として研究者に採集されて欲しくなった。


新美南吉 最後の胡弓弾き