ウィネッカの冬 中谷宇吉郎

 アメリカ合衆国シカゴ近郊の冬は、緯度が同じ北海道中央部と同じくらい寒い。ただし、雪はあまり降らず、自動車事故対策のために除雪活動も熱心に行われている(1955年に書かれたエッセイで)
 クリスマスは家族で過ごし、お盆は若者が外に出てみんなで新年を祝っているとのこと。現代日本はかなりアメリカ化されている。クリスマスの商業主義はすさまじいが、家庭をもてばアメリカ的に過ごしたいところだろう。キリスト教徒じゃなくても。
 著者がつとめていた氷と雪の研究所がシカゴに設置された理由もアメリカらしい。日本人なら乾雪とはいえ輸送時や貯蔵時の微妙な変化さえ気にして、無理してでも現地に 研究所を建てそうだ。どちらが良いのだろう。著者が言うには湿雪を相手にしている以上、(幸いにも)選択肢がないのだが、他の分野の場合が気になる。


青空文庫
中谷宇吉郎 ウィネッカの冬