1945年、北海道の冬。
よりにもよって大不作で春を迎えるまでの食料すら心配だった時代、著者の家族に娯楽を提供してくれたコナン・ドイル「ロスト・ワールド」の回顧。原著を片手に子供に日本語で語って聞かせるあたり、海外留学経験のある大学教授らしい行為だ。
シーラカンスやヒマラヤの「雪男」の話題にも触れられている。雪男のものとされる毛は最近になってホッキョクグマと近縁のDNAが確認されたんだったかな。
苦しくても空想科学の世界で楽しい時間をすごした話だと思っていたら、最後にイグアノドンの唄をつくった男の子が亡くなったことが告げられて、やっぱり戦争はしんどいとの感 想に落ち着いた。文体からは静かに受け止めているように見えるけれど、ショックだっただろうなぁ……。