海陸風と夕なぎ 寺田寅彦

 暖められやすさの差によって起こる風の話。基礎知識の見直しになった。当時から基礎知識であったことも分かる。数百メートル上空では風の向きが逆になっているので、自由気球で遊ぶ人は注意とのコメントが印象に残る。離岸流といい、海辺でのレジャーは気をつける必要がある。
 また海陸風が起こったと感じられるのは一部の地域や気象条件のときだけなので、かえって海陸風の有無によって、他の気象条件についての情報を得ることができるとの指摘もあった。作者よりもっと昔の気象に詳しい人は理屈は知らずに、こういう知識を経験的に身に着けていたに違いない。


青空文庫
寺田寅彦 海陸風と夕なぎ