すき家騒動について

 はてなでは「就活生は顧客になる可能性もあるのだから選考で酷い目に遭わせるのは会社のためにならない」等と良く言われる。
 同様にアルバイトも学生などがやっているからには、顧客となって店に還ってくる可能性が多分にある。もしも彼らに好印象を持ってもらえれば、価格や立地以外の理由で店を利用してくれる顧客層を確保できることになる。その価値は店舗にとって恐ろしく大きい。苦境の時に踏ん張れるとしたら、そういう顧客のおかげだろう。


 だが、すき家ゼンショー)のやったことは、まったく正反対に見える。アルバイトを過酷な労働条件で働かせて、怨念をため込んだ。
 それでも通常時は貴重極まる機会を損失する「だけ」で済んだかもしれないが、非常時にあっては的確に店員のイヤな注文をする行為まで行われているとの噂である。


 このような状態になってしまった根底には店舗に関わる人間を「記号」でしか見なかった経営者の精神にあるように感じられる。アルバイトも顧客も記号であり数字であるなら切り離された存在として処理されてしまう。だが、現実には彼らは、アルバイトであると同時に顧客や株主に変化しうる。
 なぜなら人間だからだ。


 ゼンショーの経営者は自分の仕事が人間を相手にしていることが分かっていなかったのではないか?その結果、彼らは労働者を搾取する悪辣な経営者という「記号」を与えられて労働者の憎しみを一身にあつめることとなった。
 それこそが彼らが選んだ運命である。