南極・北極・熱帯の雪 中谷宇吉郎

 世界各地のどこでも雪の形を決める要因は「結晶が出来るときの気温と、水蒸気の過飽和度」であると分かった話。もうひとつの要素として空気の清浄度が影響している可能性があったのだけど、南極観測隊の西堀氏による研究や著者がハワイやグリーンランドで行った研究によって、空気の清浄度は影響しないことが分かったそうだ。
 今でも雪の形から空の状態を知る研究は行われていて、東京で雪が降っ たときに写真提供が呼びかけられていたことは記憶にあたらしい。著者の「雪の研究」という本がそういう研究の源流にあることが分かった。青空文庫から著作の売上に繋がれば、いい話だ。
 余談によって当時の日本と海外の出版事情の違い(印税が入るタイミングの違い)も知ることができる。


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青空文庫
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