海路を急ぐあまり生じた隙であろう。
 いかに腕の立つローマ軍歩兵であろうとも遮蔽物なき海上カルタゴ海軍に狙われてはひとたまりもない。
 熟練の操艦術によって行われる衝角戦法は打たれる側から見ると角速度がなく、ピルムでは止められない。
 ただひとつの誤算はこの日ローマ艦隊が携えていた橋となり得る艦首構造物。
「カラス」の存在。