ローマ人の思い入れ

 まあ、ローマ人の攻囲戦への思い入れは凄まじいものがあるからな。
 同盟軍任務中に遠征先の執政官に、糧食奢ったお礼に誘われて、嫌々行ってみたんだが、まず包囲網が凄い。キロ単位で胸壁を造ってくる。手土産に持ってった軽騎兵をみて「それじゃ足りないよ、貧乏人」という顔をする。バルバロイはいつまでも技術戦には慣れないらしい、みたいな。絶対、その包囲陣4キロより、俺が連れてきた軽騎兵500人の方が敵を逃がさない。っつうか、それほぼ芝じゃねえか。
 で、投石器が石を放つ。やたら放つ。元老院のライバルと護民官もこのときばかりは執政官を尊敬。普段、目もあわせないらしい護民官がSPQRとか言ってる。ブルートゥスか?畜生、氏ね。
 攻城塔も凄い、まず汚ねぇ。生皮とかこびりついてる。洗え。オリーブオイルで洗え。つうか造り換えろ。
 で、やたら焼く。焼いてローマ人で奪う。良い屋敷から襲う。ゲストとかそんな概念一切ナシ。ただただ、奪う。執政官が焼いて、ローマ人がローマ軍に取り分ける。俺には回ってこない。畜生。あらかた片付けた後、「どうした奪ってないじゃないか?」などと、残った鉄屑を寄越す。畜生。
 で、ローマ軍、5万人くらい奴隷を取った後に、優秀な兵士に月桂樹の冠を被せる。
「今日は僕も飲んじゃう」とかシリア軍団兵が言う。おまえ、酒どころかキリストの肉やってるだろ?ギリシア少年兵も「ああ、酔っちゃった、あなた素敵ね」とか言う。こっち見んな、殺すぞ。奴隷商人が「肥え太っちゃったわね」とか言って、執政官が「属州税ゼロだから大丈夫さ」とか言う。
 パックスロマーナの意味がわかんねえ。畜生、何がおかしいんだ、氏ね。


 まあ、おまえら、ローマ人に攻囲戦誘われたら、要注意ってこった。