火山の名について 寺田寅彦

 世界各地の火山の名は、日本の火山の名と共通点をもっているのではないか。関心を抱いた著者は簡単な統計的な処理を試みる。冒頭に触れていた日本と南洋だけではなく、遠く欧州のアイスランドの火山まで名が挙がっている。
 日本語の起源を考える上でも興味深いと思いつつも、与太話に近いとの感覚も打ち消しきれない。しかし、いちおうは統計的に有意と数字を用いて出してきているので、しっかり打ち消したいなら論理的に否定する必要がありそうだ。当時の学者たちはどうしたのかなぁ。
 というか、火山学者の話題なのか、言語学者の話題なのか――著者が呼びかけていた相手は後者であるらしかった。
 話半分であっても、地名を覚える切っ掛けになれば儲けものである。


青空文庫
寺田寅彦 火山の名について